「「はぁ!?」」
私と浩一の声が重なって、涼子はびっくりしたように目を丸めた。
涼子……黒猫と同じこと言って…
「ないない、だって四十だよ?見えないケド」
「歳なんて関係ないじゃん」
「あんた言ってることメチャクチャだよ?黒猫はダメで何で店長はいいのよ」
「黒猫くんは未成年だからダメなんじゃん。でも店長は大人のオトコだし?黒猫くんと違って優しそうじゃん」
「どっちも良くない!!」
と、またも浩一は否定的。
どうしたのよ。いつもはこうゆうこと悪ノリしてくるくせに。
ま、浩一のことより今は黒猫のことだ?
店長はまぁ…良く言えば優しいかな。
チャラいけど。あんな仕事してるからかな?
反対に息子の黒猫はクールで生意気。
あの親子ホントに血が繋がってるの??
あの黒猫が店長の遺伝子アレルを持っている方が疑わしく思えるほど黒猫はそっけないし。
ミケネコが黒ネコの仔猫を生んだって感じ。(注:ミケネコはほとんどが♀です。そしてお父様が生んだワケじゃありません)
突然変異か?それとも黒猫は亡くなったというお母さん似?
冷たいし、生意気だし?優しさの“や”の字もない。
だけど
何故か店長の顔よりも―――
黒猫を先に思い出す私。
昨日、勢いとは言え、はじめて黒猫の黒い髪に触れた。柔らかくてふわふわの。
私の手の中でじゃれる
可愛いネコ。
「ってか何で“黒猫”なの?」
涼子は興味深そうに聞いてくる。
「髪が黒いから。それとあいつの名前が―――
倭人(ヤマト)っての」
クロネコヤマト
なんて覚えやすい名前。
いや、名字は“財津”ってのがあるんだけどね。



