“ごっこ”だけど、それは私たちがこの瞬間、同じ教室の同じ生徒であることを教えてくれた。
「はじめて隣同士になるね。今日からよろしく」
黒猫がはにかみながら笑う。
「…う、うん。こちらこそ」
「真田ー、今日教科書忘れちゃった。見せて」
「…う、うん。いいよ」
私の返事に黒猫が机をガタガタ言わせて私の机にくっつける。
急に縮んだ距離。ちょっと伸ばせば肘がぶつかる距離。
黒猫と椅子を並べて勉強するのははじめてじゃないのに―――
すごく新鮮に思えた。
てか黒猫は女子を名字読みか。それもなんだか新鮮だし♪
なんか……同じ目線でいられる気がした。
「真田ー宿題教えて」
「ってか甘えないでよ。宿題ぐらい自分でやりなさい」
「腹へった~早弁でもしようかな」
「授業中でしょ」
「真田の鞄から焼きそばの匂いがするんだけど。今日の弁当焼きそば?」
「聞こうよ、人の話を」
ってか私のバッグの中に、まだ食べてない焼きそばがあることを何故嗅ぎつけた。
さすがネコ。嗅覚が人間離れしてんな。
私がおずおずと焼きそばのパックを取り出すと、
「半分ちょーだい」と言って割り箸を奪っていく。
マイペースだし。
「てかそれ私が作ってもらったものだもん。半分だけだよ」
黒猫をちょっと睨むと、
「ケチ~」と黒猫は白い歯を見せて笑った。



