「ねえ、あなた名前は?」
先ほどよりも少し砕けた雰囲気で、少女は笑みを浮かべて尋ねてきた。
同じ顔だけれど、笑い方が全然違う。なんていうか、そう、お姫様みたいな。
なんだかとても可愛くて、私の緊張はどこかへ飛んで行ってしまった。
ああ、これだとナルシストみたいだけれど違くて、雰囲気の話ね。雰囲気。
「私さくらって言うの。あなたは?」
「私はエルモア。エマと呼んでくれたら嬉しいわ」
「エマ、ね。よろしく!」
エマの手をぎゅっと握って、友達になってほしいなぁとふにゃりと顔を崩す。
彼女も心底嬉しいとでも言いたそうな顔をして、けれどすぐに表情を曇らせた。
「あ……でも私、多分さくらに迷惑をかけるわ。すごく大きな迷惑を。……それでも、私と友達になってくれる?」
エマの紫が重ねられたような深い桃色の瞳がゆらゆらと揺れる。
……ばかだなぁ。
「当たり前でしょ!広い世界でこんなにそっくりな子と会えるなんてきっと運命だよ。なら、私達の友情は必然、なんちゃって」
軽くウィンクをしてエマに笑いかける。
ちょっと臭かったかな、なんて思ってちょっと恥ずかしいな。
「……ありがとう、さくら!」