…………はず、だった。



ふわり、と。




空から、私が降ってきたのかと思った。
馬鹿みたいな事言ってるけれど、それでも。

本当に彼女は私によく似ていたのだ。



「……っあら、ごめんなさい。大丈夫?」

「だ、大丈夫、です……」

「そう、よかったわ。本当にごめんなさいね、急いでいたものだから」



屋根から軽やかに飛び降りてきた彼女は、
驚いてへたり込んだままの私を優雅な仕草で立ち上がらせる。

目を合わせるようにした視線は、少しだけ上を向く。

…………髪の毛だとか目だとかは鏡を見ているようにそっくりなのに、佇まいとでもいうのだろうか。
美しい人とは、こういう人を指すのだろうと、そう思った。



「ねえ、本当に大丈夫……?」

「……あっ大丈夫!です!すみません、あの、私と似てるなって、急にごめん、」



まじまじと見すぎて不審に思われてしまったのか、顔を覗きこまれる。
綺麗、と感じたせいか、なんだか顔を合わせるのが気恥ずかしい……。

私が言った言葉を聞いて、「……そうね、驚くほどにそっくりね、私達」と彼女は少し目を丸くして頷いた。

そっくりなのは顔だけみたいですけどね!という言葉は飲み込む。