「まず言わなきゃいけないことは、エマ……エルモアと俺はこの国の貴族ってこと。



特にエルモアは、王権を握っている家の最後の一人だ。簡単に言うと王族ってやつ?


俺と同じ立ち位置にはあと二人いるけど、まあそいつらについてはあとで話す。


エルモアは最後の一人だって言ったな?
それは、あいつの親父さんがこの間亡くなったからなんだ。他の親族も皆居なくて、今王家の血を引いてるのはエルモアだけってわけ。


ここまでが前提として。王家の血が絶えるなんて事があっちゃいけないのはわかるよな。



そこで貴族の……俺の出番。エルモアと結婚して子どもを作れとさ。


ただ、他に二人居るって言ったろ。そいつらの家でも同じことが言われてんの。
当然だよな、言っちまえばあいつと結婚した家は王族になるんだから。


だけど、だけどさ。
エマと俺と二人は幼なじみなんだ。結婚相手だなんて言われても訳わかんねえし、兄弟みたいに育ってきたヤツと子供作れって言われても無理。
……エマも、そう言ってた。


だから俺はあいつをこの国から逃がすために色々やって、とうとう今日、エマは他の国に行った!


俺とエマの計画は成功したんだ。」