『いいな〜
トヨの血が飲めて…


僕には、自分から
一滴もくれないんだよ〜

命令するしか、もらえないんだよ〜?』














オヤジは、親指を噛んで
俺とマーリの様子を悔しそうに見ていた














『絶対に俺の血は、あんたにはあげねぇよ』







『えぇ〜、なんで〜』








『オヤジ、忘れたのかよ
前にオヤジが俺に命令して、血をあげたとき…

あんた、俺の血を全部飲もうとしただろ!
あれで俺は、死ぬとこだったんだぞ!』











『だってぇ…

トヨの血…美味しいんだもん』













だもん…じゃねぇだろ!!

可愛く言っても、男だからな!



全く可愛くねぇよ!!

キモいだけだ!













『それに、トヨってば…
俺が噛むと、イイ顔してくれるから…

止まらなくなっちゃうんだもん』










『きめぇんだよ』













俺はオヤジの眷属だ
だから、オヤジの命令には逆らえない

最初、オヤジの眷属になったときは
最悪だった


何度、死にかけたことか…













『なんで、この場所に戻ってきた
ここは、もう俺の場所だ

返さねぇぞ』













オヤジは、魔王をやめたとき
俺に魔王を継がせ、この魔界をくれた



もう戻ってこないと思っていたが…

何故、ここにいる













『孫の顔を見たかったんだよ〜
トヨが血を与えるものは、僕の家族…

つまり、孫にあたるからね〜
どんな孫がいるのか見ておきたかったんだよ〜』










『嘘をつくな

このタイミングで来ることが可笑しすぎだ』














勇者を倒した直後に来るなんて…

しかも、シャーナと関わりがあるなら…




オヤジは、絶対に何かするつもりで

俺らの前に現れたはずだ






俺が魔王を継いでから、マーリたちを悪魔にした

だから、オヤジはマーリたちと一度も会ったことがない




でも、シャーナを知っているし
見た感じ関わりがあるようだ



オヤジは、シャーナと何をするつもりだ