イイコでしょ?

大キライ、大スキ…





自室で布団に転がりながらユラユラと考える。





意地悪な言葉ばっかりぶつけられて、大キライ。





大キライだけど…





新井専務と話してる時のあの笑顔、キラキラの横顔、悔しいくらいにかっこ良くて、思わず見惚れてため息が漏れる。





そして…





中指の腹で、自身の唇に触れる。





キス…





今日で三度目。





契約成立時の、乱暴なキス。





結婚式の時の、偽りのキス。





今日の…





思い出しては何度も赤面し、顔を覆ってはジタバタと足をバタつかせた。





いっつもトゲトゲしてるくせに、何であんなキス…





男の人とする初めてのキス。





偽装だけど結婚するんだからと、そういう…覚悟も決めていたけど。




キスだけであんな、気を失いそうなほど持ってかれるなんて…





この先があるとしたら…私大丈夫だろうか。





この先なんてあるハズ無いのに、余計な心配なんかして、焦って。





考えたくないのに、壁の向こうに居る成瀬さんを考えて。





瞼を閉じても中々寝付けない。





ゴロゴロと無意味に転がったり、眠れそうな音楽を薄っすらとかけてみたり。





いろいろ試してみたけど、一向に眠れず…





成瀬さんのせいだ!と勝手に成瀬さんに押し付けて、諦めて水を飲みに部屋を出た。





真っ暗なリビング。





ひんやりとした空気に、軽く背筋を凍らせながら、電気も付けずに冷蔵庫の扉を開ける。






ペットボトルの水を取り出し、喉を鳴らして飲んでいると、突然、私の名前を呼ぶ成瀬さんの声が聞こえた。