「やっぱ男ってさ~料理ができないと女としては見てくれないよねぇ」
さっきまで勢いよく食べてた美帆さんがスプーンを置き、ため息を着いた。
なにやら深刻なご様子。むかしなにかあったのかな?
「べ、別に……お料理なら練習すればある程度はできるようになりますし。そんなに心配しないでも」
「それが、あるのよ!」
美帆さんは私の肩をがっちりと掴み、ずいずいっと顔を近づけてくる。顔をひきつらせながら、さりげなく避けていると。突然、美帆さんの目から滝のような涙が流れた。
「わたしがさぁ、頑張って作ったけど焦がしちゃった肉じゃが。それ見て“おれを殺す気か”なんて振りやがったんだよ!
ご飯を炊くと必ず炊飯器が爆発するし、鍋は変形するし。野菜の皮を剥くと十分の一しか残らない……“おまえ女以前の生き物だな”って……10人連続で同じセリフでフラれたんだよ! ちくせぅ……料理が何さ!
料理ができなくたって生きていけるわい! うわぁああ!!」
肩を掴まれ体を激しく揺さぶられながら、考える。
あ、あれ? プリンにアルコールなんて入れてなかったよね? なのになんで美帆さんが酔っ払ってんの?
そんな些細な疑問の答えは、美帆さんが紅茶にブランデーを入れてたせいでしたよ……お酒、弱すぎですね。



