ペーストにしたにんじんを裏ごしして……それからあまり色が変わらないように気をつけて混ぜ合わせて……と。
こちらはかぼちゃとさつまいも。あまり色を出したくないけど、仕方ないか。
できるだけ甘みの強い野菜を使って、違和感がないように仕上げるのは一苦労。1週間ほど試行錯誤して出来上がったものを、おはる屋の子ども達に試食してもらう。
野菜嫌いの子ども達も気づかずにぺろっと食べちゃって。これはいける! と確信を持ってからマンションで本番へ向けて完成度を高めた。
「……なんだこれは?」
あ、不機嫌さが増したな。最近は私もちょっとだけ彼の感情の動きが解るようになってきた。
深夜12時。仕事から帰宅した伊織さんを待ち受けた私は、ダイニングに現れた彼に黙って3つのプリンを出した。
私服に着替えた伊織さんは眉間のシワを深め、ただ目の前にあるグラスを凝視してる。ちなみに、席争奪戦に破れた彼の椅子ではミクがゆったりくつろいでる。
「お野菜を入れたプリンです。違和感ないように仕上げてみました」
「……余計な口出しはするな、と言ったはずだが?」
ギロリ、と睨まれて背中にひんやりした震えがくる。やっぱり社長を務めるだけあって、威圧感が半端ない。
けど、私だって10日かけて頑張ったんだから! と拳を握りしめ自身を励ました。
「そうですけど! い、一応あなたの妻ですから……体のことを考えたいんです。それのどれかを召し上がらなければ普通のプリンはあげませんから」



