「まあ、俺がまだガキだから、言えないってのはわかる。だから、無理に訊いたりはしないよ」
ガリガリと頭を掻く音がして、思わず顔を上げた。
「空くん! みんなが何かを食べてる場所で頭を掻かないの」
「へえ、へえ。それは悪うござんした」
空くんは肩を竦めておどけた後、にやりと笑う。
「やっぱ碧姉ちゃん、おっかね~なぁ、みんな」
「ほふほふ、そうだね。この前ボクが靴のまま上がったら足を叩かれたもん」
「あ、あれは……大地くんが悪いんでしょう!」
空くんは、卑怯だ。弟分達を味方につければ、私に勝ち目はないのに。
「あら、そう? 野蛮な猿が何か叫んでるけど、あたしには聞こえない。ねえ、碧お姉ちゃん。猿がバナナ食べてるけど気にしなくていいからね」
心愛ちゃんが取り澄ました顔でなかなかの毒舌を吐くと、チョコバナナを食べてた大地くんがムキッ! と唸る。
「だれが猿だ、誰が!」
「あら、不思議。猿なのに日本語が通じたなんて」
ぎゃんぎゃん喚く大地くんの言葉を、心愛ちゃんは涼しい顔で聞き流してる。
可笑しくてクスクス笑ってると、空くんがにやりと笑った。
「碧姉ちゃんもたまにはああしてガキみたいに好きに言えばいいんだよ。溜め込むよりはましだろ」
「空くん……」
「あんま溜め込むの良くないだろ? ま、どうしてもってんなら俺が聞いてもいいけど? ステーキセットと引き替えに」
「ちょ、それ高すぎ!」
あはは、と遠慮なく笑う。なんとなくすっきりして、空くんの気遣いに感謝した。



