ふう、と額の汗を手のひらで拭う。もうすぐ次のシフトの人が来るから、もうひとがんばりだ。
忙しさが一段落した厨房で、足りなくなったサラダのストックを作っていると、次のオーダーが入った。
「三番、オーダー入ります。プリンアラモードとキャラメルプリンと豆乳プリンにカスタードプリン、それぞれ一つずつお願いします」
バイトの女の子が手慣れた様子でオーダーを伝えてくる。こんな深夜にプリン尽くし? ずいぶん変わった注文だなーとは思ったけど、すぐに準備をしてホール担当のバイトちゃんにオーダーの品を渡した。
(きっと若い女の子のグループかなんかだよね)
自分と同世代かな、と考えてチクリと胸が痛くなる。ギュッと握りしめた拳をそこに当てて、頭を振った。
(考えちゃ、駄目。今の私に大切なのはおばあちゃんと駄菓子屋なんだから)
今の生活を、手放したくない。だから、私は人見知りを無理に押し込めてもこうしてバイトしているんだ。
おばあちゃんがずっと守ってきたお店を、子どもたちの大切な場所を無くす訳にはいかないから。



