契約結婚の終わらせかた




「わたし、佐藤 美帆(さとう みほ)。見てのとおりしがないガラス工芸店の店長よ」


佐藤さんは自己紹介の他にいろんな話をしてくれた。このお店は1年前に市中心部の活性化を目指すチャレンジショップで安く借りられ開店したと。


本当はガラス工房で職人になりたかったけど、才能がなく諦めて売る方へ転じたこと。今は30歳で独り身だけど、毎日それなりに充実していることなど。


なんだかえらく人懐っこい人だなあ……とは思ったけど。嫌味のない明るさと適度な距離感が、何だか心地よく感じられた。


今どきな茶髪をお団子に結び、見た目が可愛らしい彼女は20代前半と言われても違和感ないほど若々しい。たぶん身長は150ほどで小柄だけど、来客がある度にお店を駆け回るパワフルさはすごかった。


商品を買う訳でもないのにお茶をご馳走になってるのが申し訳なくて、お店を手伝おうとしたけどきっぱり断られた。


「これは、わたしの領分だから。知識がない人に関わって欲しくないの」


佐藤さんの矜持を表すひと言はとても重みがあって。何も知らないのに軽々しく手を出そうとした自分が恥ずかしくなった。