「お願いです! 借金は私が何とかして返しますから」
「何とかと言うが、具体的にはどうするつもりだ?」
伊織さんは冷淡に、冷静な指摘をしてきた。
それを訊かれれば弱いけど、私に答えられるのはこれしかない。
「は、働きます! これから日雇いでも何でもして……いろんなところから借り入れて……何とか用意します」
「今日は4月10日……3週間で全てを用意出来るとでも? 世間知らずの無謀だな」
ハッ、と鼻で笑われて言葉に詰まった。自分でも世間知らずと解っているけれど、私は他の方法なんて知らない。
「第一、どこかの社員でもない二十歳にしか過ぎないあんたに、200万という金額を貸すマトモな信用機関があると思うのか? あったとしたら不法なヤミ金しかない。労働で稼ぐなら、体を売るか――それくらいしかないだろう」
「それは……」
私は何も言い返せなくて、着ているシャツの裾をギュッと握りしめた。彼の言う通りに、私の見通しは甘過ぎるとしか言えない。
「そんな覚悟もなしに、中途半端な努力でどうにかしようとしたのか? だから、世間知らずだと言ったんだ。何も知らない子ども(ガキ)のくせに、一人前に責任だけ背負おうとするな」
全く、伊織さんの言う通りでぐうの音も出ない。悔しくて情けなくて……ぼろぼろにこぼれそうな涙をグッと堪えた。
(泣くな……伊織さんは教えてくれただけなんだ、私がどれだけ馬鹿だったのか。だから……泣くんじゃなくありがとうって言わなきゃ)
涙を堪えるために、まぶたをギュッと閉じる。少しだけ……そう思った瞬間、だった。



