「お願いします、おばあちゃんには言わないで! おばあちゃんは何も悪くないんです。おばあちゃんが保証人になったのは……私のためだったんです」
私は、伊織さんに頭を下げて懇願した。
もともと、おばあちゃんは借金だとかツケだとか大嫌いな性格だ。いくら貧乏でも身の丈に合った生活を良しとする性質。だから、保証人になんて絶対首を縦にふらない。
だけど。
私が小学生の時、PTAや父母会でリーダー格の人に、その娘に私の面倒を見てもらうことを条件に借金の保証人になった。
私が人付き合いが苦手で友達が居ないことをおばあちゃんが気にしてたことは知ってた。いくら口が悪くても、おばあちゃんは私を心配してくれる。だから、自分のポリシーを曲げてまでそうお願いしてくれたことが嬉しかった。
だけど……
結局、おばあちゃんはいいように利用されただけ。借金はその人じゃなく、顔も知らない親戚のもので。事業が失敗した挙げ句、夜逃げして借金だけがおばあちゃんに残された。
つまり、この借金はもとはと言えば私のせい。高校の頃からバイトをして返してきたけど、利子と僅かな返済が出来たに過ぎない。
おばあちゃんにはもう少しで終わると誤魔化してきたけど……年が明けてから借り入れ先から“もうこれ以上延ばせない”と言われたんだった。
深夜のバイトをもっと増やしてみたけど、体を壊して結局おばあちゃんに辞めさせられて……。
返すあてなんかなくて、どうしようも無かったのは事実だった。



