「それで、これを」
正座した葵和子さんは畳の上でスッと一枚の招待状を差し出した。
「……これは?」
「伊織が手紙とともに送ってきたの。二枚あるから、きっと一枚はあなたのためなんだと思います」
「伊織さんが?」
封筒を開くと、招待状の日付は明日3月14日になってる。
市の中心部にある一流ホテルの翡翠の間を借りきったパーティー……。何の趣旨のパーティーかは書かれてない。
「世間ではあずささんとの婚約だと取り沙汰されていますけど、わたくしはそうは思いませんの」
葵和子さんは封筒ごと私に招待状を渡してきた。
「伊織は、おそらくすべてに決着を着けるつもりでしょう。だから、あなたに来てほしいのだと思います」
葵和子さんの言葉とともに、私の中で閉めていたはずの心が動き出す。
「碧さん、僭越ながらわたくしはきちんと伊織に伝えて欲しいと考えてます。わたくしと正蔵さんとのように……悲しいすれ違いで不幸を呼んで欲しくないのです」
葵和子さんの両手が握りしめられ、細かく震えてる。きっと自分の過去を顧みて、同じ轍を踏んで欲しくないんだろうな。
「はい……」



