いつの間にか日が傾いて、空が茜色と紫色に染まりつつある。
おじさま方はビー玉が入ったラムネで一杯やりながら、清々しい笑顔で語り合ってた。
「私の頃は給食の牛乳ビンのキャップをメンコがわりにしてましたよ」
「そうなんですか。私のところは牛乳は三角パックでした」
「私は揚げパンが楽しみでしたな」
おじさまの給食談義に、堅くんが加わる。
「へ~揚げパンってのがあったんだ。オレはソフト麺とミートソースと冷凍みかんが好きだな」
「お、キミも冷凍みかんが好きか。話がわかるじゃないか」
中部支社長が堅くんのラムネに自分のビンをカチンと当てる。
結局、支社長チームと子どもチームの勝負は五分五分。決着は着かなかったけど。いつの間にか仲良くなって、世代を越えた会話をかわしてた。
「思い出すなあ、母が呼びにくるまで夢中で遊んだ時代(とき)を」
「ですね」
社長と広報部部長もラムネ片手に賑やかなおはる屋を眺めてた。
「こりゃ、買うに買えませんね社長」
「……そうだな。最初は脅され仕方な……ゴホン。いや、正直な話まったく興味は無かったが。来てみるものだな。これだけ人びとが必要とするものを、そろばん勘定だけで潰すのは惜しい」
そして、社長は昔懐かしい練り消しを眺めながら、ギュッと手のひらで握りしめる。
「……価値は目に見えるものだけでない、か。桂グループ創業者の言葉が身に染みるな」
そして――社長さんは子どもたちへ宣言した。
「わかった。君たちの頑張りに感服した。この土地は一旦こちらで買い上げるが――おはる屋に寄贈することにしよう」
社長さんがそう約束した瞬間、子ども達は飛び上がって喜んだ。



