カチン!と青空に独楽がぶつかる音が響く。
「あ~っ、やられた!」
「ふっふ~ん。どうだ、参ったか!」
「参った、参った! いや、 まさかここまで強いとは思わなかったよ」
ポンポンと白髪頭を叩くのは、桂興産の中部支社長。彼の前で得意顔なのは堅くんだった。
桂興産の社長さんの独断でおはる屋へやって来た支社長さんたち。最初は渋々で「なんでこんなことを」ってはっきり顔に書いてあった。
だけど、堅くんがおじさま達に勝負を申し込んだところで空気が変わった。
“負けたらおはる屋をあきらめる”――おばあちゃんもまだ売る方へ傾いてるし、もしもこれで駄目になるなら。と真剣勝負を申し込む。
いい加減に社長の独断専行に呆れていたのか、主導権を握られるかもしれない。と支社長さん達が比較的強い人を出して勝負をした結果。
独楽遊びでは三勝一敗と子どもたちが圧勝。次にメンコ勝負では二勝二敗と五分五分。
そして、次の勝負はけん玉。どれだけ長く続けられるか、一発で剣先に収められるか、で決まる。
おじさま方も昔とった杵柄か、なかなかの手さばきでけん玉を操る。けど、やっぱり時間の隔たりがあるのか、毎日遊ぶ小学生に押されてく。
「あ~惜しい!」
「もう、見ていれん! 私に貸しなさい」
拳を握りしめた東京支社長が、北陸支社長のけん玉を奪い華麗なさばきを披露する。
「お、研さんなかなかやるねえ」
「そりゃそうですわ。私の子ども時代はこういう遊びが主でしたからな」
自然に昔ばなしをしたおじさま方は、知らず知らず笑顔を浮かべてた。
「よ、よし! 勝ったぞ」
無意識のうちにガッツポーズを取った北陸支社長……すぐに赤くなって「ごほん」と咳払いした姿が何だかかわいかった。



