「あたしは、放課後店番に来るわ。ま、お礼はジュース一本でいいかな」
なんて、おばあちゃんの助けを申し出たのが心愛ちゃん。


「オレはもっとダチ連れてくる!」
売り上げに協力をしたいと堅くんが息巻く。


そんな中でいつも目立たない大地くんが、ポツリと小さな声で出したアイデアは。

「署名ってのはどう? 大人も困ったことがあればよく署名集めてるよね」

「それはいいかもしれないな」

空くんが賛同すると、別の子どもたちもうんうんと頷く。


「署名は賛同者がこれだけいますって証明になるからな。おはる屋は何十年も続いてるから、きっと話せば賛同者は増えるはずだ」


空くんが高校生らしい現実的な話をすると、小難しい話が苦手な子どもは首を捻ってたけど。


「要するに、これだけの人がおはる屋を潰さないでくださいって言ってますよってこと」


私が分かりやすく言えば、堅くんがバチンと指を鳴らした。


「それ、いただき! よし。さっそく今日から始めようぜ」

「バカね~適当な紙じゃダメよ。ちゃんとした用紙を作らないと」


心愛ちゃんが先走りそうな堅くんに待ったをかける。面倒くさいな~と言う彼を宥めながら、心愛ちゃんは何だか嬉しそうだ。


そこへ、意外な人がひょこっと顔を出す。


「や! 悪いけど聞かせてもらったよ。おはる屋が危ないって聞いて駆けつけたんだ。
もしよかったら、俺にも協力させてくれないか?こんな場所は現代では貴重だからなくしたくないんだ」


そう申し出たのは美帆さんのカレで、カメラマン兼ジャーナリストの雅司さんだった。