「……あ」
ばしゃん、と水音が聞こえて、慌てて目を覚ます。部屋の時間を見ると、もう10時。どうやら布団の上でうとうとと寝入ってしまったみたいだ。
家族風呂に伊織さんと入った私だけど、熱くなって先に上がったんだ。お茶を飲みながら伊織さんにいつ出るか訊いたら、もう少しと言われて。布団の上でちょっとのつもりで目を閉じたら……あっという間に二時間以上が過ぎてた。
「伊織さん?」
隣の布団に伊織さんの姿がない。トイレか何かかな? と思ったけど、またぱしゃんと水の音がして。にゃお! とミクの鳴き声が外から聞こえた。
「なんだ、ミクも外に出たんだ」
ふああ、とあくびをしながらガラス戸を開こうとして、尋常じゃないミクの鳴き声に不安になる。なにかある? と急いで引き戸を開いて――見つけた。
まだ家族風呂に入ってるけど、真っ赤な顔をして呼吸が苦しそうな伊織さんを。
「伊織さん!」
突然の出来事に、一瞬頭が真っ白になったけど。
「にゃお!」とミクの責めるような鳴き声にハッと我に返った。
(そうだ、伊織さんを助けなきゃ! まずはお風呂から出して布団に寝かせて……水分をとらせる。それからフロントに連絡をした方がいいよね)
しっかりしろ! と自分を叱りつけ、伊織さんを助けるために浴衣を脱いで家族風呂に飛び込んだ。



