「………」
「………」
なんでこんなことになったんだろう? 頭が真っ白で、ドキドキが伊織さんに伝わらないか気が気でない。
ご飯の後、せっかくだからかき氷の前に家族風呂に入ろうと言い出したのは伊織さん。彼自らが希望したならば、と一も二もなく賛成したけど。
「なんでおまえは浴衣のままだ?」
「はい?」
「家族が一緒に入るから、家族風呂なんだろう」
「……………そうですけど」
彼のために新しいタオルを持っていったところで、そんな意外なことを言われて。口で彼に敵うはずもなく、なし崩しに一緒に家族風呂に入るはめに。
……いや、まあ。
伊織さんが私を女として見ていないことは解りきってるし。自分が女として貧相なのは理解してます。だから、下心で言われたかと勘ぐることもないのだけど。
だからといって、恥ずかしさが無くなるはずもなく。
「………」
バスタオルを体に巻いたまま彼が目を離した隙に、ササッと湯船に飛び込んだけど。意外と狭くて……伊織さんとの距離が近い。
彼はリラックスしきっていて、マイペースに温泉を楽しんでる様子。焦ったり慌ててるのは私だけでバカみたいだけど。一応女としては……好きな人と同じお風呂だなんて。鼻血が出そうなシチュエーションなんです。
「……いいな、こういうのも」
「そうですね……あ」
夜空を見上げた私は、満天の星に思わず歓声を上げた。
「見てください、伊織さん! すごく綺麗な星ですよ」
「ああ……これはすごいな」
ため息が出そうな綺麗な星空を、2人で並んで眺めた。



