契約結婚の終わらせかた




午後はひとまずお土産屋さんでみんなへのお土産を選ぶことにしたけど。


「いいですか、伊織さん。お土産の予算は3000円以内ですからね」


平気で万札を乱舞させそうな伊織さんに、今のうちだと念を押しておく。


「それだと何も買えないぞ」

「買えます! だいたいの人はこれくらいの予算で収めるものなんですよ。今、お金があるからっていつまでもあると思うな、です。いいですか? 一円たりともオーバーしたら、今日のプリンはなしですよ」


絶対に譲らないぞ! って意味で私は自分の財布から千円札を3枚出して渡した。


「とりあえず、これを使ってください。返すのは後でいいですから」

「……」


伊織さんは眉間のシワを寄せて思いっきり千円札を睨み付けてた。彼は支払いを万札でする習慣があるから、始めから千円札なんて不安なんだろう。


けどプリンの誘惑が勝ったらしく、大きくため息をついて「わかった」と渋々承諾してくれて一安心。彼のお財布はそのまま私が預かって不正防止を徹底しておきます。


「え~すごい! 江戸時代の古い硬貨がこんなにある」


おばあちゃんや美帆さん達へのお土産を見ていて、アクセサリーに古い硬貨が使われたストラップを発見。実際に使用されたもの……へえ。


案外面白いものがたくさんある。夢中で見てたらあっという間に一時間経ってて。慌てて伊織さんを捜したら、彼は和紙の工芸品コーナーに足を止めてた。


和紙でできた便箋や封筒を眺める彼は、とても真剣な目をしていて。もしかして……手紙を送りたい女性でもできたのかな、と走る胸の痛みは見てみぬふりをした。