伊織さんの言葉は、もしかしたら真実なのかもしれない。私は自分が満足したいから謝るのかも。
だけど……だけど。
「そうかもしれないし、違うかもしれない。でも……あなたを傷つけてしまったこと。それは悔やんでも悔やみきれない……私が悪いことは解ってます。だから、謝りたいんです。ごめんなさい!」
その場で正座をしたまま、私は伊織さんに向かって頭を下げた。
彼が何かを言わないうちは頭を上げない覚悟でずっと石畳に頭を着けていると。ハアッと大きなため息を着かれた。
「……まったく」
伊織さんはあきれ果てたようにため息の連続の後、顔を上げろと言う。
「なぜ、そこまで俺に謝りたい?」
「自分が悪かったなら、謝るのは当たり前だからです」
きっぱりと迷いなく答えれば、伊織さんは面食らった顔をした。
「おばあちゃんも言ってました。自分が悪いなら謝り続けなさいって。私もそう思います……だから」
「……わかった、わかった。あんたの言いたいことは十分伝わった」
伊織さんはそれ以上言うなとでも言いたげに、手のひらを立てて私の口を塞いだ。
「……俺も、大人げなかった態度なのは認める。悪かった」
ボソッと、かすれるような小さな声だったけど。確かに伊織さんが自分の非を認めて謝ってくれた。
思いがけない彼の態度に、理解して受け入れるのに時間がかかって。伊織さんが苛立ったように口を開いた。
「で?」



