「……重い」
「ご、ごめんなさい!」
伊織さんの不機嫌な声で、慌てて起き上がる。彼に覆い被さるように倒れていたと知って、かあっと顔が熱くなった。
「ごめんなさい……す、少しは痩せたんですけど。やっぱり重いですよね」
「…………」
私が話しかけても、伊織さんは仰向けに倒れたまま。顔に手をやって何も答えない。
やっぱり……顔色が悪いし汗をかいてる。呼吸だって浅く速い。私は慌ててカバンを開くと、袋から錠剤を取り出した。
「伊織さん、真っ青ですよ。薬を飲んでください……って。ああ!水がない」
あちらに置いてきちゃった! とムンクの叫びと化していると、フッと伊織さんに鼻で笑われた。
「取ってこい」
「はい。でも、逃げちゃダメですよ」
慌てて裾を捲り上げてからまた走る。はしたないですがごめんなさい! 伊織さんの具合が悪いので。
私がコップを差し出すと、伊織さんは薬を水とともに飲み込む。
ふう、と息を吐いた彼に。そういえばいいチャンスだとやっと気付いた。
「あ……あの、伊織さん。体調が悪いのに騒いでごめんなさい。
だけど……どうしても謝りたかったの。ごめんなさい!」
ペコリと深く頭を下げると、伊織さんの呆れたような言葉が胸に突き刺さった。
「他人への欺瞞だな」
「……はい」
「あんたは謝ったという事実が欲しいだけだ。自己満足だろう。心底詫びたい訳でもない、単なる謝罪の押し付けというのは理解してるのか?」



