あずささんと別れて一人になった私は、伊織さんを探そうとグラス片手に歩き出した。
(あの人は……背中のラインが違う。あっちの人は……髪の色と肩幅が違う。こちらは……ちょっとぽっちゃりだ)
着物だと裾さばきを意識して、歩幅が小さくなるし。あまり大きな動作には向かない。
付け焼き刃だけど特訓してくれた2人の熱意を無駄にしないためにも、しずしずと静かに歩きながら人捜しを続けた。
「やぁ、レディー誰かをお探しかい?」
「え?」
男性にしてはやや高めの声がしたかと思うと、目の前に陰がさす。
目の前にあるのは白――ではなくて、白いタキシードを着た男性がいつの間にか立ってた。
背が高くてほっそりとしたその男性は、中性的ではあるけどとてもなく整った顔立ちをしてた。
栗色の髪をふわりと流したヘアスタイルといい、白いタキシードといい。どことなく“白馬の王子様”を想像させる。
「キミのようなチャーミングなレディーがお困りならば、私シオンはお手伝いさせていただきましょう」
まるでお姫さまに仕える騎士のごとく、胸に手を当てて優雅に一礼する様はキマってて。思わず見とれてから、ハッと我にかえった。
「い、いいえ。一人で大丈夫です。お気持ちだけいただきますね。ご親切にありがとうございます」
王子様にペコッと頭を下げてから、踵をかえそうとしたけど。いつの間にか彼に、ガシッと腕を掴まれた。



