「ちょ、なんだよ! いきなり閉めたりして」
「ごめんね、あの……そう、プリン……プリンだけど、私が昨夜ぜんぶ食べちゃってた! ごめんね」
まさか、昨夜拾った見知らぬ男性に食べられました~なんて。言えるはずがない。だから、苦し紛れだけど自分を悪者にしておいた。
「なんだよ~プリン無かったのか。店番して損した」
「ごめんね、次は空くんのぶん2つ作っておくから。それからお詫びに、その雑誌あげる。だから、今日はもう……」
帰って、と言おうとしたんだけど。
ガラガラッと耳慣れた音が聞こえて、その場で固まった。
だって……あの男性が、せっかく閉じたガラス戸を開いてたんですよ。開いた途端、空くんが固まってたのは当然でしょう。
全く男っ気がないこの駄菓子屋で、年若い男性があんな寝乱れたままの姿で出たら。
(ぎゃああああ――っっ!)
内心、ムンクの有名な「叫び」になってた。それくらい衝撃的で、空くんが変な誤解うんぬん以前に。彼も思考が飛んでいるようなポカンとした顔をさらしてた。
で、男性が空くんに発したひと言は。
「プリンは、この女が作るのか?」
――だった。



