「ね、い……一緒に……夜店、回らない?」
「えっ」
もじもじと両手を組み替えてる空くんが、意外な誘いをしてきた。
顔を上げて彼を見れば、空くんは真っ赤になったままだけど。すごくすごく真剣な眼差しで私を見てて。急に心臓が鼓動を速める。頬が熱さを増して、視線に耐えきれずまたうつむいた。
ドキドキする……。
急に、空くんが子どもじゃなくって異性なんだって。ちゃんとした男の子なんだと意識をしてしまって。こうして向き合うのも気恥ずかしくなってきた。
「そ……そんな。わ、私みたいなの誘っても楽しくないよ? 余り者だからって同情しなくても大丈夫。それに、空くんにだって本当なら好きな人くらい」
「オレは、碧姉ちゃんだから一緒にまわりたいんだよ!」
「……!」
予想外の熱いセリフに、ビクッと肩が揺れて両手を組み合わせた。
なんて答えたらいいんだろう?
別に約束した訳じゃないけど、私は伊織さんと回るつもりでいた。もちろん、彼が嫌がるようなら1人で回るつもりでいたけど。
もちろん、空くんの誘いは嬉しい。1人で回るよりは2人の方が楽しいに決まってる。
でも……こんなにも急に異性と意識した年下の男の子と、だなんて。
契約では恋愛は自由となっていたけど、それでも一応偽とはいえ私は伊織さんの妻なんだ。年下でも異性と2人きりの行動は慎むべきだよね?
(伊織さんはどう思うんだろう?)
気になってちらっと伊織さんを見ると、彼が予想外の行動を取ってきた。



