二百文字小説【小さな玉手箱】

《90.ローカル電車》

 電車に乗って妻と帰省する。座席はボックスシートだ。

「向かい側の席いいですか」

 問われたので見ると老夫婦だ。ベビー用品店の紙袋を持っている。

「どうぞ。終点までですか」

「ええ、はじめて孫に会いに」

 おばあさんの視線は、大きくなりはじめた妻のおなかへ。

「何か月ですか?」

 そこで、妻とおばあさんの問いが揃ってしまい笑う。

「五か月です」

 答えも一緒。

 そのまま子供の話の流れに。

 偶然の出会いとともにローカル電車は進む。