二百文字小説【小さな玉手箱】

《88.適材適所》

 俺は不動産業者。借り手がつかない賃貸アパートに悩んでいる。

 入った者はすぐに契約を取り消し、逃げるように出ていってしまう。

 現在の入居者はゼロ。曰くつき物件というやつだ。

「安く借りられる所を探しているのですが」

 そんな時に客が。こういった客は収入が少ないので月給と職業を訊く時がある。

「ご職業と同居人は?」

「霊媒師で妹とです」

 適材適所とはこのことだろう。

 賃貸アパートから、あれだけ聞こえていた嗚咽が消えた。