二百文字小説【小さな玉手箱】

《85.空気感》

 一才の娘が微熱をだした。病院に行こうかと聞いても妻は冷静だ。

「しばらく寝かせて様子を見ましょう」

 子供の治癒力はたいしたもの。

 看病したかいもあり、翌日には治った。

 ところが娘の様子を見ながら、うたた寝していた自分が熱を出すはめに。

「うつるといけないから、ふすまを閉めておくわね」

 頭には氷枕だけ。

「うたた寝したら風邪ひくよって言ったのにねー」

 ふすまの向こうからは、娘に話しかける妻の声。

 何故だ? この空気感。