絢音学園の屋上は、開放制。



誰でも自由に出入りできて、ベンチとか、花壇とか、噴水まである。



そのベンチのひとつに座り、片倉くんは、妃莉にパンとジュースを手渡した。



「はい。
妃莉ちゃん。
どうぞ」



「……えっと。
ありがとう……」



パンの入っている紙袋が、絢音学園のマーク入り。



どうやら、片倉くんは、屋上に来る前、購買に寄ったらしい。



でも、妃莉。



びっくりしすぎて、そんなこと、全然覚えてない。