「そ、そんな迷惑はかけられません!!私のような者にご好意をかけてくださるのはとても嬉しいのですが…厄にしかなりません…」



こんな優しい方にまで疎まれるのは耐えられない…

もう誰も傷つけたくない。





「……その紅い瞳があるから?」


…しまった、と思った。
あまりの驚きに顔を上げてしまったから、目を見られた。

恐怖で震えが止まらない。
握られた手を振り払って逃げなければと思うのに体が動かない。


しかし、何かをされるわけでもなく、罵られることもなく、握られた手は優しく男の両手に包み込まれた。



恐る恐る男の顔を見ると、その人はとても真剣で、それでいてとても優しい顔で私を見ていた。

「僕はその瞳好きだよ?
とても綺麗。」


思わず目を見開いた。


「人間は馬鹿だね。こんなに綺麗な瞳を素直に綺麗と言えないんだ。」


"綺麗"なんて言われるとは思ってもいなかった。
初めて、認めてもらえた気がしてどうにも言えない温かい気持ちがあふれた。

はじめてこんな感情があふれた。

この感情は、なんと呼ぶのだろう?


ただただ嬉しくて少女は涙を流した。