妖怪の屋敷にご厄介になってます。



本当に同じ人間かと思ってしまうくらいに綺麗な男の人。

人がいたことに気付かずに泣いていたのかと少女は恥ずかしくなり、俯いてしまった。

「麓の村の子?道がわからないのなら送っていこうか?」

「あ、いえ…」


村になんて帰れるはずもない。
しかし、初めて人から親切にしてもらったのだ。断るなんてできない…

男は少女の気まずそうな顔を見て覚った。


「帰れない…?」

「…………」


少女は黙って頷いた。