「…あの、」
「ん?」
「本当にこんな森の奥に家があるのですか…?」
「少し遠いからね…あ、そこ気をつけて」
そう言って私の手を取る。
「貴方様は、とても優しいのですね」
「そんなことないよ。僕は思ったままに行動しているだけ。人間は縛られすぎなんだよ。世間とか、体裁とか。少し視界を広げるだけで変わるものがあるのにね」
確かに、きっかけは何にせよ私も自分の村という縛りから解放されて変わったものがある気がする。
私を受け入れてくれる人がいるってことに気づくことが出来た。
―これから、もっともっと新しいことを見つけていけるのだろうか。