『…それ、何ですか?』




小さく一ノ瀬さんの手元を指差すと、
顔を赤くしながら俯く一ノ瀬さん。




「お前は…ウサギ、買ったんだろ?」





『はい♪ゲットですよ。』




笑って一ノ瀬さんにウサギを見せると





『…え、』




一ノ瀬さんも苦笑いで…




ピンクのウサギを私に見せた。






「…悪い、サプライズ的な流れで出したかったんだけど。」





不味い顔をしながら私にそれを押し付ける一ノ瀬さん。




小さな優しさが嬉しくて。






潤ってしまう瞳を一ノ瀬さんに向けながら、
私も一ノ瀬さんにブルーのウサギを差し出した。







「…は?」







『…私は一ノ瀬さんが買ってくれたウサギをデスクに座らせますから、
一ノ瀬さんは私のウサギをデスクに置いて下さい!』







「は?!
んなもん置いといたら出来る仕事も出来なくなるだろ。」









そう言う一ノ瀬さんの口調は強いけど、
少し頬が緩んでいるのが私には分かった。







『約束ですよ!ありがとうございます!

…初めてなんです。プレゼント。』





優しく触れると見た目通りふわふわなウサギさん。







ずっと一ノ瀬さんが持っていたからかな、


少し、彼の香りが.



残る気がした。







「…30にもなった男のデスクにウサギかよ。」






苦笑いで一ノ瀬さんが見つめるウサギさんは、



私に向かって小さく微笑んでる気がしたよ。