初めて見る咲良の泣き顔。
溢れ続けている涙を拭いながら咲良は笑顔で言った。




「涼くんとサヨナラしたんだっ♡」



わざと明るく言っている事くらいこのオレにもわかる。



「えっ…なんで?
……なにがあったんだよ?」



サヨナラって…昨日まであんなに幸せそうにノロケていたのに。



咲良は空を見上げて、必死に涙を堪えようとしている。
それでも次から次へと流れ落ちてくる涙を見て、いても立ってもいられなくなった。



泣いている咲良を優しく抱きしめる。


「泣きたいだけ泣いていいから。
落ちついたら、話せたら話してよ」



誰かを抱きしめたことも慰めることも、経験がないからぎこちなくて頼りなくて…どうすることが咲良にとっていいのかわからない。
これが精一杯だった。