「優勝おめでとう。海生君、本当に格好良かった」



“格好良い”って言葉は他の人に言われても嬉しくも何ともないけど、春川さんに言われると照れる。


あり得ないぐらい顔が熱い。



「あ、ありがとう」



真っ直ぐに春川さんを見れなくてつい視線を逸らしてしまう。


赤くなってるだろう顔を見られたくないのもあるけど。


恥ずかしさの余り、いつも俺は彼女の目を見て話せない。



「試合見に来てくれたんだ」


「うん。今日しか観に来れなかったけど」


「そっか…」



案の定、会話は続かない。


“それでも観に来てくれて嬉しいよ”ぐらい言えればいいのに、俺の口は動いてくれない。


気まずい沈黙が俺達の間に漂う。



「……私、観に来たの迷惑だったかな」



沈黙を破って俯き加減に言う春川さんにハッとした。


観に来てくれたのに礼の一つも言えやしない。嬉しいの一つも言えやしない。


それどころか視線を逸らすわ、会話も続かないわで、俺が迷惑してると彼女に誤解させてしまった。



「違っ!そうじゃなーー、」


「海生ー‼︎集合だってよ!」



そうじゃない。嬉しいよ。って、彼女の言葉を否定しようとした時、拓真がさっきいた所から俺を呼んだ。