陰からそっと覗くと、見えるのは女子の後ろ姿と……向かい合ってるのは確か陸上部の田城だ。
それにしても、あの女子の後ろ姿……
見覚えがある。
ボブヘアーの黒髪。背丈、身体の細さ。背筋を伸ばした綺麗な立ち方。
見覚えがあるというより、あれは確実に優奈だ。
「優奈……?何やってんだよ」
「あ…あいつ、優奈に告ってた奴だ」
ボソッと隣りで海生が呟く。
「え?」
「見たんだよ。この間、此処で告ってんの」
「見たって……海生は優奈に聞いたんじゃないのか?」
「いや、聞いてねぇよ?優奈は俺がたまたま此処で見てたのも知らないんじゃないか?」
「見てたと言うよりも、寝てたら勝手に来ただけだけど」と苦笑いを浮かべる海生。
何だよ……優奈が海生にだけ言ったわけじゃないのか……
俺はてっきり、優奈が言ったんだと思ってた……
「この間の返事、聞かせてもらえる?」
田城が、顔を真っ赤に染めて優奈を見つめている。
くそ、ここからじゃ優奈の顔が見えねぇじゃん。

