「“昨日”なんだよ…?」
気になる。胸騒ぎがする。
海生は少し間を置くと、「俺が口出しすることじゃないかもしれないけど」と言葉を濁しながらも口を開いた。
「俺は席を外して、セイラが優奈の話を聞いてたんだけど……もう拓真とは終わったって、そう言ってたらしい」
「終わった……?」
優奈がそんなことを?嘘だろ?
「昨日何があったかよくわかんねぇけど、早く仲直りしろよな。お前らがギスギスしてると、俺も居心地悪いんだよ」
海生なりの、海生らしい、不器用な背中の押し方だなと思った。
俺、馬鹿みてぇ。
一人で勝手に嫉妬して。
大事な親友に気遣わせて、大事な女を泣かせて“終わった”なんて言わせて。
「海生、俺ーーー、」
“優奈と話すわ”と口を開こうとした時。
「来てくれてありがとう」
突然聞こえた声に俺と海生は咄嗟に植木の陰に隠れた。
「何で隠れんだよ」と声を潜める海生に、「そっちこそ」と返す。