俺には不釣り合いだ。部長なんて。
もともと人の上に立つ素質なんてない。
海生のようにカリスマ性もスター性もない。
なのに、前部長の春川先輩は俺を部長に任命した。
なんで春川先輩が海生ではなく俺を選んだのか謎だったけど、今考えるとその理由が安易に想像出来る。
エースの海生を身軽にするためだ。
櫻川のテニス部部長は、結構荷が重い。
なんせ全国区のチームだから。
俺なら、別に主要選手じゃないからその重圧に潰れても平気だと思ったんだろう。
当て馬ってやつだ。
海生は一年の頃から期待されてて、こいつが潰れたら櫻川はお終いだ。
最後に部室を出て鍵を閉める。
もう海生の姿はなく、優奈だけが外灯の下で待っていた。
「拓真お疲れ」
いつもの優奈だ。
違うのは、きっと、俺。
「さっき海生と何話してた?」
「ああ。今度セイラちゃん誘って四人で遊びに行こうって話してたの」
「それだけ?」
「これからあの二人、デートなんだって。海生が嬉しそうに話すから羨ましくなったよ」
思い出しながらクスクス笑う優奈にイラッとする。

