五年前ーー、小学校三年の時ここで優奈が泣いてるのを見つけた。
優奈の膝や手のひらからは血が出ていて、服は泥だらけ。無惨な姿だった。
俺と海生は気付かなかったんだ。
優奈が女子から虐められていたことに。
原因は俺達二人。
小学校三年頃から急激にモテ始めた俺と海生。
その幼馴染だからという理由だけで、優奈は一部の女子から虐められていたんだ。
俺が女子に言ってやる、そう言っても優奈は頑なに首を縦には振らなかった。
“負けない、虐めなんかに”
優奈はそう言って、泥を叩き涙を拭って教室に戻っていく。
何日も何日も。同じように泣いては立ち上がって。
俺は心配で毎日ここに足を運んだ。
海生には言わなかった。
俺が優奈を助けてやりたい、子供ながらもそう思ってた。
そんなある日、いつものようにここに来てみると『拓真!』と元気な声の優奈がいた。
相変わらず服は汚れて、膝には真新しい傷。
なのに、二ヒヒと笑ってる優奈。
訳が分からないと顔を顰めると、優奈はピースをしながら『勝ったよ』と笑った。
『拓真がいつも一緒にいてくれたからだよ。ありがとう』
その言葉を聞いた途端、俺の目から初めて涙が溢れ、二人して大声で泣いたんだ。
あの日から、ここは俺と優奈の二人だけの秘密の場所になった。

