動かない俺と春川さんを、下校する生徒が好奇な目を向けてくる。
だけど、今はそんなの少しも気にならない。
それぐらい彼女のことで頭がいっぱいで、この後どうしようか頭をフル回転させて考える。
すると、春川さんの隣りにいた友達らしき人が彼女に何か言葉を掛けて背中を軽く押した。
春川さんは一度友達に目配せすると、おずおずと足を踏み出した。
一歩、また一歩と俺に近付く。
やがて、俺から二メートルほど離れた所で足を止めると、気まずそうに目を泳がせた。
「あ……」
早く…何か、言わないと。
そう思うのに、俺の口は思うように動いてくれない。
いつものように春川さんの前に立つと喉がカラカラに乾いてしまう。
何で俺はこんなに意気地がねぇんだよ。
話したいことがあるのに……
伝えたい想いがあるのに……
こんな時ぐらいビシッと格好良く決めたいのに。

