「何なんだよ、マジで」
拓真の後ろ姿が心なしかウキウキしてるように見えるのは気のせいだろうか。
その今にもスキップを踏みそうなムカつく後ろ姿をポカンと見ていると。
「拓真にしては良いことするじゃん」
突然、優奈が背後からぬっと出てきて、これまたご機嫌そうに声を躍らせた。
「あれ、絶対“今の俺、格好良かった”って思ってるよ」
拓真の小さくなる背中を見て、クックックッと笑う優奈。
こいつまで意味不明なこと言ってるし。
ったく、この脳内花畑カップルが。
「良いことって何?俺、拓真の言ってることさっぱりなんだけど」
「……うわ〜、拓真可哀想」
「あ?」
「あれはね!つまり会いに行けってことよ。春川セイラに‼︎」
は?春川さんに会いに行け?
「まだ仲直りしてないんでしょ?ここに皺寄ってる」
優奈は自分の眉間を人差し指でトントンと叩く。
拓真もそうだけど、優奈にまで一瞬でバレるとは……幼馴染ってすげぇな。
なんて、感心してる場合じゃないけど。

