「また拓真とやり合ったの?」
休憩に入った春香が二ヒヒと笑いながら俺の隣りに立つ。
あの事故の時は小ちゃかった春香が、今はもう俺の肩ぐらいまで大きくなった。
身長だけじゃない。
もしかしたら、心は俺よりも大きく広くなってるかもしれない。
「あいつの弱点は体力だからな。人一倍走らせねぇと駄目なんだよ」
「ふふ。どうだか」
嬉しそうに笑う春香。
「何でそんな嬉しそうなの?そんなに拓真が好きか?」
なんかムカつく。
拓真を見ながらそんな顔で笑うんじゃねぇよ。
今は付き合ってないとはいえ、他の男を見るのは許せない。
「ヤキモチ?」
「は?ちげーし」
「大ちゃん可愛い」
「うっせ」
まじダサいな、俺。
余裕無さすぎ。
俺の方が大人なのに、子供みたいだ。
走り続ける拓真に憎しみ込めた視線を送っていると、春香は周りに気付かれないようにそっと俺の服を摘んだ。
「私が好きなのは大ちゃんだけだよ」
頬を赤く染めて、遠慮がちに上目遣いで言う春香。
あーあ、俺って単純。
今の一言で醜い嫉妬なんて何処かに吹っ飛んでいった。

