「結果、こんな形になったけど。自分の気持ちに気付けたのは少なからずお前のお陰だからな」
「大ちゃんの気持ちって何?俺はてっきり二人はくっつくもんだと思ってたけど」
拓真は正直で真っ直ぐな奴だ。
俺がどんなに誤魔化したって納得しないだろう。
でも、麻里香の話を簡単に口にするほど、俺も春香もまだ傷は癒えていない。
「確かに俺は春香が大事だ。だけど、今はまだその時じゃない」
「その時じゃない?は……何それ。教師と生徒だからとかそんな理由?」
「立場の問題だけだったら良かったのにな」
もし、それだけの問題なら俺は何の躊躇いもなく春香を自分のものにするんだろうけど。
俺らには時間が必要だ。
お互いを大切に思ってるからこそ。
二人が幸せになるための時間が。
一番奥のコートでサーブの練習をしている春香を見つめる。
麻里香と春香は似てる。
やっぱり歳が離れてても姉妹。
何度春香に麻里香の面影を見たかわからない。
でも、当然のことながら春香は春香で麻里香は麻里香。
俺は春香が麻里香の妹だから好きになったわけじゃない。
春香が春香だから好きになった。
……麻里香が麻里香だから、愛してたんだ。

