微かに震える唇、揺れる瞳。
春香の満面の笑みの下にある今にも泣きそうな顔に、俺は気が付いたら手を伸ばしていた。
「大……ちゃん?」
春香の頭を引き寄せる。
その手で頭をポンポンと撫でると、春香は俺の肩に顔を埋めた。
両腕で思いっきり抱き締めるのを我慢して、片腕で小さな体を受け止める。
あくまでこれは大事な妹を慰めているだけ。そう自分に言い聞かせて。
「……っ、ゔ……ひっく…」
声を押し殺して泣く春香。
俺は春香が顔を上げるまでずっと、その小さな頭を撫で続けた。
「大ちゃんってホント馬鹿だな」
次の日、部活が終わるなり険しい顔をして俺に詰め寄る拓真に、俺は「余計なお世話だ」と息を吐いた。
拓真が今日の昼から何か言いたげに俺を睨んでるのは気付いてたし、それが昨日の春香の事だってのもわかってたけど。
まさか生徒に…高校生の子供に馬鹿って言われるとは……

