今更わかった。
サヨナラするって言った時の春香の表情の意味が。
ホント、昔から春香は強がりで、こうと決めたら譲らないんだよな。
自分の気持ちよりも相手を優先する。
それは誰しもが出来ることじゃない。
自分を持ち、強い心の持ち主だからこそ出来ることだと俺は思う。
「バーカ。あと何年先だと思ってんだよ。その頃には俺はもうおっさんだ」
「おっさんでも大ちゃんは大ちゃんだもん」
へへん、と口の端を上げて笑う春香を可愛くて、愛しいと思う。
抱き締めたい衝動に駆られて、自分を抑え込むように拳をギュッと握った。
今はダメだ。
こんな不甲斐ない俺に、春香を抱き締める資格ない……
「大ちゃん、覚悟しててね?私、お姉ちゃんよりもうんと綺麗になるから。大ちゃんが焦っちゃうぐらいの良い女になるから」
そんなこと言われなくても、正直今の時点で焦ってるっつーの。
春香は俺が思っていた以上に心も体も大人になってた。
もう少し自分の気持ちに気付くのが遅くなっていたら、俺は一生後悔していたかもしれない。
「ったく、ホント正真正銘のバ……」
“バカだな”
そう言おうとして、俺は目を見張った。

