「何かあったの?」
「何かって?」
「だって、大ちゃんが学校で呼び出すなんて初めてのことだから」
「ああ。そういえばそうだな」
呼び出したって言っても、俺が呼び出したわけじゃなく拓真が勝手に仕出かした事だけど。
特にやましい関係ではないとはいえ、教師として特定の生徒と仲良くするのは良くないと思って、極力二人にならないようにはしてた。
用があればメールや家に行って話せばいいことだし。
でも今回は、拓真の野郎にほんの少し感謝してやってもいい。
勢いでこの気持ちを伝えないと、俺は多分また何だかんだ理由を付けて春香と向き合う事から逃げそうだから。
「春香。今日、拓真と飯行く予定だったんだろ?」
「誘ったんだけどね、断られちゃった。彼女を大切にしたいからもう二人じゃ遊びに行けないだって」
「いいなー。大事にされて」と、春香は心底羨ましそうに息を吐いた。
こういう一面を見ると、春香はやっぱり高校生だなって思う。
恋に憧れて、妄想を膨らませて。
彼氏とこんなデートがしたいとか、夢があるんだろうなって思う。

