「大ちゃん、保津奈、おっはよん」
相変わらずのテンションで、拓真が俺と保津奈の背中をバシッと叩く。
「いってぇな!お前は」
「お前言うな、教師が」
拓真とはいつもこんな調子だ。
ったく、俺はお前のダチかよ。
「じゃ、じゃあ……僕はお先に」
保津奈は拓真に叩かれた勢いでズレた眼鏡をくいっと直すと、背中を丸くしてそそくさと教室に行ってしまった。
「女おっとこ〜!」と新垣優衣が保津奈の後ろからガシッと肩を組む姿を見ていると、「大ちゃん」と拓真が俺を呼ぶ。
「ああ?」
「俺、明日の土曜日近衛に遊び誘われてんだよね」
「誘われた?」
拓真から出た春香の名前にピクッと右瞼が上がる。
「そ。あいつ、色々悩んでるみたいで。好きな男と何かあるといつも俺に愚痴んだよ」
「……何で拓真なんだよ」
「さあ?」
さあ?だと?
なんか一々むかつく言い方だな。

