「あ、大ちゃん先生。おはようございます」
昇降口に降りると真っ先に会ったのは、男子テニス部マネージャーの貝崎保津奈(カイザキ ホヅナ)。
一見、女っぽい名前と、細い身体。
いつもビクビクオドオドした態度から、保津奈のクラスメイトの新垣優衣(ニイガキ ユイ)に“女男”とからかわれてるのを何度か見た事がある。
保津奈は、眼鏡を外せば結構凛々しい顔をしてる。
普通にイケメン……いや、美男子だと思うんだが……
「おう。保津奈いいトコに会った。今日、部活前に俺の所に来てくれ。この前注文したボールが届いたから運ぶの手伝ってほしい」
「わかりました」
保津奈は嫌な顔一つせず、ニコッと笑って言う。
俺は保津奈がNOと言ったところを見た事がない。
何でもYES。断る事を知らない。
「……なぁ、最近困った事ないか?」
「困った事?ないですよ?」
う〜ん。虐められてるわけではなさそうなんだけど、もしかしたら本人が気付いてないだけなのかも。

