俺は春香を抱きとめて、その小さな背中を宥めるようにポンポンと叩く。
帰って来ないって聞いた時は本気で心臓が止まるんじゃないかと思うぐらい焦った。
俺の可愛い妹。俺が守る。この先もずっと。
あの日の帰り道、俺の背中でスヤスヤ寝息を立てる小さな春香に誓ったんだ。
「お姉ちゃん、許してくれるかな」
「許すも何も、怒ってないよ」
「……まだ間に合う?」
「ああ、間に合うさ。春香がいつもの笑顔でおめでとうって言ってくれたら、麻里香のやつ大泣きするんだろうな」
そんな二人を想像して、クスクス笑みが漏れる。
早く見たい。
二人の仲睦まじい姿を。
「さ、行くか。麻里香が待ってる」
「うん!」
間に合って良かった。
春香に笑顔が戻って、本当に良かった。
これで皆幸せになれる。
今日から本当の家族になって、この先ずっと一緒に。
幸せになるんだ。
ーーーーだけど、俺と春香に待ち受けていたのは、残酷な未来だった。

